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飼い主さんもトレーニングしなければならない

訓練所を飛び出した後、次の修業先をインターネットで探していた私は、犬をトレーニングする仕事ではなく、困っている飼い主さんにアドバイスするサービスをしている学校を見つけました。そこは、海外の学校でした。

日本に代理店があるようでしたので研修費を振り込み、出発しようとしている私を見て、母は「向こうに行って何もなかったらどうするの?」と心配していました。ところがどっこい、「向こうには何もない」どころか、そこにはテレビやフジオで活躍していたドックトレーナーを始めすばらしいスタッフたちがいました。彼らの指導を受けながら過ごした研修期間は、まさに「目からうろこが落ちる」毎日だったのです。

私が研修生として入ったころはちょうど忙しい時期だったようで、朝5時に迎えに来てもらい、夜10時に帰宅、なんていう日も多々ありました。それでも本当に楽しく、多くのことを学ばせてもらいました。ランチを取るヒマもない日もありましたが、ビーチに車を停めて海を見ながら手作りのサンドイッチをほおばっていると、忙しさなんて苦になりませんでした。

レッスンでは、飼い主さんのお宅へ伺い、愛犬の状態と飼い主さんとの関係を分析し、問題点を探し出します。先生のカウンセリングカはすばらしく、帰国後、私もカウンセリングの勉強をするために学校に通いました。カウンセリングをして、問題行動の原因を探し、それによって愛犬のためのプログラムを作成するのです。

あるレッスンでのこと。会社を経営しているという60代くらいの紳士が、彼に対して最初は社員に対するかのようにとても横柄に振る舞っていたのですが、カウンセリングが始まるとどんどん態度と顔つきが変わっていくのです。最後には服従した子犬のようになり、人なつこい笑顔を見せては「おもしろい!」と言いながら一生懸命メモを取っていました。

優秀な経営者は、柔軟な思考力を持っているんだと感心しました。

また、「(愛犬のチワワと)一緒に寝てはいけません」と言った途端に泣き出してしまった70代の女性や、しつけに失敗したにもかかわらず「私はインターネットでいろいろ調べたので、あなたよりしつけのこと、ましてや愛犬のチワワのことはよく知っているわ!」と言わんばかりに自分の非をなかなか認めない40代のキャリアウーマン風の女性もいました。

せっかく問題行動を改善するためのプログラムを作ったのに何も実施せず、愛犬に「おりこうになるように、やってはいけないことをこんこんと言って聞かせました」という80代のおばあさんも……。本当に興味深い、いろいろなケ-スを体験することができました。

先生のアドバイスを素直に聞き入れ、飼い主がそれまでの愛犬との接し方を変えてくれただけで、どんどん犬の行動が変わっていく様子もたくさん目の当たりにしました。本当にすばらしい驚きでした。

その学校の人が飼い主さんにアドバイスを行うときに使用する基本ルールは、私の「ベースプログラム」の基礎になっています。

日本の訓練所と海外の学校で学んだことには、明らかな違いがありました。それは、訓練所では「犬」を訓練することだけを教わったのに対し、そこでは「飼い主さん」を訓練すること、飼い主さんが愛犬を扱えるようにアドバイスすることを教わったことです。

また、訓練所では犬がしてほしくない行動をしたり、してほしい行動をしなかった場合、体罰などのマイナスの対処をするのに対し、そこでは、してほしい行動をするようにごほうびで誘導する、あるいはしてほしくない行動をごほうびで誘導して、してほしい行動に変えるというプラスの対処をすることを教わりました。

私は、飼い主さんとよく話をして、愛犬を受け入れていただいた上で問題行動の原因を見つけ、それを改善するための掖し方をお教えして飼い主さんを指導していきます。飼い主さんには、プラスの対処方法で、愛犬の理想の行動を導いていただけるようアドバイスしています。